探偵業に必須の契約書類とは?法律に基づく書類と作成時の注意点を解説
探偵業法では3種類の契約書類が必須で、適切に作成することがトラブル防止の鍵になります。重要事項説明書や調査契約書には、具体的な記載事項が法律で定められているため、作成する際には注意が必要です。
本記事では、探偵業契約書の基本的な内容から依頼者保護のポイントについて解説します。契約に関する重要事項や作成時の注意点もまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
探偵業法に基づく3つの必須契約書類

探偵業務の契約には、以下3つの契約書類が必要です。
- 調査目的確認書(誓約書)
- 重要事項説明書
- 調査契約書
探偵業法第7条と第8条により、上記の書類は契約前後で順序立てて作成する必要があります。ここでは、書類の特徴を解説します。
調査目的確認書(誓約書)
調査目的確認書は、調査結果を違法行為に使用しないことを明示する重要な書類です。ストーカー行為やDV被害者の所在調査など、具体的な禁止事項を明記しなくてはいけません。
調査目的の適法性を確認し、依頼者が調査結果を適切に利用することを誓約する内容を含みます。探偵業法では、依頼者からの誓約内容を明確に記録する義務があります。
重要事項説明書
探偵業者の基本情報から調査内容、料金体系まで契約の重要な内容を説明する書類です。依頼者への事前説明用として契約前に交付が必要です。
探偵業者の登録番号や所在地、責任者名などの基本情報を明記し、依頼者が安心して契約できる環境を整えます。料金体系や支払条件など、金銭に関する事項を具体的に示す必要があります。
調査契約書
具体的な調査内容や期間、料金などの契約条件を詳細に定める書類です。契約締結後に速やかな交付が必要で、依頼者との合意内容を明確にします。
調査の実施方法や調査員の体制、報告方法など具体的な実施条件を明記します。契約書の記載内容に不備があると契約自体が無効となる可能性があるため、慎重な作成が必要です。
探偵業契約書で記載すべき重要事項説明の内容
依頼者が安心して契約できるよう、調査内容から料金まで具体的な説明が必要です。探偵業法では、重要事項の説明と書面交付を義務付けています。
ここでは、探偵業契約書で記載すべき重要事項説明の内容について解説します。
調査内容と実施方法
重要事項説明では、調査の内容や実施方法を具体的に記載しなければなりません。
- 調査対象者の具体的な特定方法
- 調査員の人数
- 実施時間帯
- 調査期間
- 実施地域の範囲
また、曖昧な表現での記載はできず、具体的な調査方法を明示します。追加料金が必要となる業務が生じた場合、実施有無と内容も明記が必要です。
料金体系と支払条件
基本料金や追加料金、成功報酬など全ての費用項目を明確に示します。支払時期や方法も具体的に記載することで、後のトラブルを防ぐことが可能です。
料金体系は探偵業者によって異なるため、契約書で明確に規定します。
キャンセル条件
契約解除時の手続きと返金条件を明確に定めます。調査開始前後での解約料の違いや、返金基準を具体的に示します。
クーリングオフ制度の適用可否や具体的な手続き方法、違約金の発生条件と金額も明記が必要です。また、調査日の振替可否と手数料の有無についても定める必要があります。
探偵業契約書における依頼者保護のポイント

探偵業法では依頼者保護の観点から、具体的な規定の明記が求められています。探偵事務所は依頼者の権利を最大限保護するため、明確な契約条項の設定と確実な履行が必要です。
探偵業契約書における依頼者保護のポイントをまとめると、以下の通りです。
- 個人情報の取扱方法を規定する
- 調査結果の報告方法と期限を設定する
- 資料の取扱いと処分方法に注意する
それぞれについて詳しく解説します。
個人情報の取扱方法を規定する
探偵業契約書では、収集する情報の範囲と利用目的を明確にします。第三者提供の禁止など、具体的な管理方法を定めましょう。
個人情報保護法に基づく適切な取扱いと、調査で得た情報の利用制限を明確に規定する必要があります。情報セキュリティ対策の具体的な内容と実施方法を明記し、確実な保護措置を講じることが大切です。
調査結果の報告方法と期限を設定する
探偵業契約書は、報告書の形式や提出期限も明確に定めましょう。写真や動画などの証拠資料の提供方法も具体的に示します。
調査過程で記録した各種データの提示方法や、報告書の作成形式についても明記が必要です。報告内容の正確性と客観性を担保する具体的な方法を規定します。
資料の取扱いと処分方法に注意する
探偵業契約書では、調査資料の保管期間と処分方法を明確に定めましょう。個人情報保護の観点から、適切な管理方法を示すことが大切です。
資料の返却や破棄の具体的な手順と時期を明記し、確実に大切な資料が処分できるようにしましょう。資料管理の責任者と具体的な管理手順を定め、適切に運用できるようにすることが大切です。
探偵業契約書を作成する際の注意点
適正な契約のため、法令に基づく書面作成が必要です。以下の点に注意して契約書を作成しましょう。
- 探偵業法は電子契約が明文化されていない
- 包括契約は禁止されている
詳しく解説します。
探偵業法は電子契約が明文化されていない
探偵業法には、電子契約を認める文言が記載されていません。しかし、電子契約を禁止する旨も記載されていないため、どちらとも言えないのが現状です。
現在では、電子署名法やIT書面一括法にも規定されているように、さまざまなサービスが電子契約で利用できます。一方で、書面での契約ができないことで、不安を感じるユーザーも少なくありません。
基本的には、PDFなどの電磁記録として書類を発行してもらえるので、問題になるケースはありません。どうしても気になる方は、電子契約の探偵を避けることも検討してみましょう。
包括契約は禁止されている
探偵業契約書の作成において、調査案件ごとに個別の契約が必要です。将来の調査を一括で契約することはできません。
探偵業法では個々の探偵業務の内容を明確にし、契約を締結する必要があります。包括契約による調査は違法となり、行政処分の対象となる可能性があるため注意が必要です。
まとめ
探偵業契約では法定書類の適切な作成と説明が不可欠です。依頼者保護の観点から、具体的な契約内容の明示と適切な情報管理が重要となります。
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