こんな調査は要注意!知っておきたい違法・合法ガイドライン
配偶者の浮気調査や、行方不明者の人探しなどの調査を行う「探偵」。
調査を確実に成功させるためにできることは全部やりたくなってしまうもの。
しかし、探偵だからといってなんでもやって良いわけではありません。
調査行為に対して、「これは違法なのでは?」と感じながらも曖昧な判断をするのは危険!
探偵の調査行為と法律の関係について、正しい知識を持っておきましょう。
探偵の調査行為って、違法にならないの?
探偵事務所や興信所では、「浮気・不倫調査」「素行調査」「行方不明者などの人探し」といった依頼が多くあります。
これらの調査は主に、「尾行」「張り込み」「聞き込み」「インターネット追跡」といった方法で行われますが、これらの調査をプロの探偵ではなく一般人が行って、万が一ターゲットに知られてしまったら、ストーカー規制法などに抵触してしまう可能性があります。
しかし、探偵ならこれらの調査行為を法律に準拠して、合法に行うことができるのです。
これには「探偵業法」という法律が大きく関わっています。
「探偵業法」という法律がある!
探偵業法とは、正しくは「探偵業の業務の適正化に関する法律」という名称で、探偵による調査行為を保護するために制定されました。
この法律の中で、行っても良い調査と行ってはいけない調査も具体的に定められているので、探偵業を始めるときには十分理解しておく必要があります。
探偵には、国家試験や国家資格がありません。
そのため、「誰でも探偵という職業になれる」と思われがちですが、実際には探偵法という法律に即して調査を行う必要があり、それを国家公安委員会と約束する届出の提出が求められます。
届出の承認をもらうための基準やルールも細かく決められており、基準を満たした事業者だけが晴れて探偵業を始められるのです。
公安に届出を提出している探偵社は合法
国家公安委員会の承認を得ている探偵による調査なら、認められている調査については違法になりません
相談者や依頼者に安心してもらうために「探偵業届出証明書」を事務所の目につくところに掲示し、ホームページやチラシなどの広報物には届出番号を記載するのがおすすめ。
また、一度承認を得てもその後の定期的な審査で不承認となる可能性もあるため、ルールを守った営業を行いましょう。
探偵の尾行や張り込みがストーカー行為にならない理由
一般人が、他人の後をつけたり無断で写真を撮影するといった、行動を監視する行為をすると、プライバシーの侵害やストーカー規制法といった罪に問われることがあります。
しかし探偵は、あくまでも「探偵業法」に則り、仕事として尾行をしているのでストーカーにはなりません。
犯罪としてのストーカー行為の定義は、特定の相手に対する恨みや恋愛感情によるつきまといが繰り返されること。
探偵は感情ではなく、仕事として尾行や撮影をしていることが証明できるため、ストーカー行為にならないのです。
違法行為として問われてしまう調査行為とは
探偵の調査行為は法律で守られているから何をやってもいい!というのは大きな誤解。
きちんと届出を出している探偵であっても、法律に抵触するためできない調査があるんです。
ここでは、どのような調査が違法になってしまうのかをご紹介いたします。
差別目的での素性調査
素性調査で多いパターンは、「結婚相談所やマッチングアプリで知り合った相手の素性を調べてほしい」といった依頼です。
結婚詐欺や、恋愛感情を利用して多額の投資などをさせる「ロマンス詐欺」の心配など、これから交際を続けて結婚をしていい相手なのかを探偵に調査してもらう場合もあるでしょう。
しかし、ここで重要なのは「素性調査をする理由」です。
ターゲットの「婚姻歴、借金の有無、学歴や職歴、人柄と評判、異性関係」なら、探偵は合法で調査できます。
しかし、「特定の地域出身かどうか」「親が他国出身で、帰化していないか」など、このようなことを知るための素性調査は、差別を助長するとして日本国憲法に反する調査となってしまうため、探偵は調査を行うことはできません。
盗撮・盗聴(条件による)
探偵は主に、尾行や張り込みによってターゲットの情報を得ます。そして決定的な証拠は、カメラでの撮影やレコーダーによる録音によって掴みます。
探偵が使う撮影道具にはさまざまな工夫を凝らした特殊なものがあります。
しかし、これは盗撮や盗聴に当たらないのか?と気になる方もいるでしょう。
探偵が調査として行う撮影や録音は全て合法、というわけではありません。この問いかけに対する答えは「調査方法や内容による」となります。
例えば、ターゲットと浮気相手がラブホテルに入るところを撮影することは違法ではありません。ラブホテル前の公道は公共の場であり、撮影自体が許されない場所ではないためです。
ただし、依頼人以外の第三者の私有地内を撮影したり、第三者の所有物に録音機器を仕掛けるといった行為は違法になります。
探偵による調査行為の違法・合法のボーダーラインは、「依頼人の許可があること」と「依頼人以外の第三者の私有地・所有物を侵さないこと」であると言えます。
私有地まで踏み込む尾行(不法侵入)
前項で紹介した内容の補足になりますが、尾行の過程で私有地に踏み込む行為も、不法侵入の罪に問われるため違法となります。
探偵と言えども不法侵入は許可されていないのです。
きちんと法律を守って調査を行う探偵なら、踏み込んでいい場所と悪い場所を正しく判断します。これも優れた探偵のスキルのうちです。
車で尾行をする場合も、もちろん交通ルールを守って追跡をします。警察騒ぎを起こしてしまうと、ターゲットに調査がバレるきっかけとなりかねないので注意しましょう。
まとめ
探偵による調査は違法か、合法かについて詳しく解説いたしました。
探偵は探偵業法という法律を守って調査を行うという約束を国家公安委員会と取り交わしており、それによって許可された範囲で尾行や張り込みを行っています。
調査の方法や内容によっては法律違反となるため、探偵業法を正確に理解するとともに、できない調査は無理に引き受けず、ルールを守って健全な調査を心がけましょう。